巨大ブランドグループ「LVMH」とは?転職方法は?

LVMHのロゴ画像 brands&conglomerates

「LVMH(エル・ブイ・エム・エイチ)」何の略でしょう?正解は「Moet Hennessy-Louis Vuitton(モエ・ヘネシーー・ルイ・ヴィトン)」です。モエ?ヘネシー?お酒?ヴィトン?ブランドにあまり興味がない人にとっては、何のことかわからないかもしれません。「LVMH」は、高級酒類やラグジュアリーファッションブランド、ウォッチやジュエリー、コスメやフレグランス、また免税店などなど、あらゆる高級ブランドを網羅したラグジュアリーブランドのコングロマリット(複合企業体)なのです。

アパレルやブランド業界に席を置いていれば必ず耳にする「LVMH」。そして知れば知るほど魅力的な企業である傘下ブランドの数々。そんな「LVMH」とはどのような企業なのか、傘下ブランドにはどのようなブランドがあるのか、そしてどうしたらLVMHの傘下ブランドに転職ができるのか。この記事で解説していきます!

LVMHとは?

LVMHグループ概況の画像
LVMH公式サイトより抜粋

LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH Moet Hennessy – Louis Vuitton SE)は、フランス・パリを本拠地とするコングロマリットである。

Wikipediaより引用
  • 傘下ブランド:75 ※2023年5月現在
  • グループ売上高:約792億ユーロ(約11兆1600億円)※2022年度
  • グローバル従業員数:19万6000人以上 ※2022年度

このように、LVMHは保有ブランドの買収や売却を重ね、日本の大企業、「日立製作所」や「日産自動車」をも上回る売上を生み出しています。業界内では知らない人はいないほどの存在感と影響力です!

LVMHの歴史

まずは「LVMH」の歴史を紐解いていきましょう。どのような成り立ちなのでしょうか。

モエ・ヘネシーとルイ・ヴィトン

1987年、モエ・ヘネシー社とルイ・ヴィトン社の折半出資により、持ち株会社「LVMH」が誕生しました。 それぞれが長い歴史を持つ企業が集まり、「高級品」と言うくくりで提携しました。合併当初は経営陣等の対立もあり、経営はいまひとつでしたが1989年に業務提携という形で、後のグループオーナ兼CEOのベルナール・アルノー氏が経営に参加したことで 軌道に乗り始めます。その後は皆さんご存知の通り、世界のラグジュアリーブランドを次々に買収し、現在の巨大帝国を作り上げました。

ベルナール・アルノー登場

内部対立に目をつけて、アルノー氏は自身が所有する「クリスチャン・ディオール社」によりLVMH株の40%を取得しますが、その後買収目的でLVMH株を一斉に買い付け、経営権を完全に掌握しました。

この剛腕な手法でLVMHを手中に収めた「ベルナール・アルノー」とは、どのような人物なのでしょうか。

「ベルナール・アルノー」とは?その人物像

LVMHを語るには不可欠なベルナール・アルノー氏。ここではその人物像に迫ります。

壇上のアルノー氏

カシミアを着た狼

「カシミアを着た狼」。高級ブランドの買収を重ねるベルナール・アルノーの俗称と言われています。元々は 父親が経営していた建設・不動産会社の後を継ぎ、米国で不動産ビジネスを手がけていたアルノー氏。 富裕層向けの別荘などの建設と分譲に取り組み、個人向けの住宅をつくって売っていました。

そんな中1984年、アルノー氏は突然、当時「クリスチャン・ディオール」を所有していたフランスの繊維会社「ブサック・サンフレール社」を買収しました。目的はもちろん「クリスチャン・ディオール」。その証拠にブサック社が所有していた新聞社や銀行などの他の企業はすぐに売却しています。そんなアルノー氏がなぜ門外漢のブランドビジネスに参入することになったのでしょうか。

タクシー運転手との会話

1970年代に フランスから初めてニューヨークに来たアルノー氏がタクシーに乗ったときに、運転手にこう尋ねました。「フランスについて何か知っていることはあるかい?」タクシー運転手は「大統領の名前は知らないが、クリスチャン・ディオールと言う名前は知っている」と答えました。フランスといえばディオール。国外でここまでの知名度があることに驚き、アルノー氏はブランドビジネスの可能性を感じたそうです。

不動産ビジネスとブランドビジネス

アルノー氏が手掛けていた不動産ビジネスとブランドビジネス。 ここには共通点がありました。どちらも高所得者層がお客様なのです。アメリカで高級コンドミニアムなどを作り、個人の富裕層に販売をしていたので、アルノー氏は彼らの嗜好を熟知していたのです。富裕層はモノを買う時、必要だから買う以外に、買って周りからどのように見られるのかも重視します。その点では不動産もブランドも同じということでしょう。恐るべき先見の目とビジネス感覚です。

こうしてアルノー氏はLVMHを手中に収め、世界最大のブランド帝国を築いていったのです。

傘下ブランド一覧

それではLVMHグループの傘下にはどのようなブランドがあるのでしょうか。LVMHはその傘下ブランドをメゾンと呼びます。上記のように2023年5月現在75メゾンが6つのセクターに分かれて構成されています。

  • ワイン&スピリッツ・・・あれもこれも聞いたことのあるお酒の25ブランドが並んでいます。お酒好きにはたまりませんね!有名なブランドは歴史も古いものが多く、一番歴史の長いブランドは1365年に創業しています!!
  • ファッション&レザーグッズ・・・グループの中核をなすこのセクターは、そのすべてが有名ラグジュアリーブランドと言っても過言ではありません!それもそのはず、このファッション&レザーグッズのセクター、14ブランドだけでLVMHの総売上の約49%(2022年度)を占めています。
  • パフューム&コスメティクス・・・ファッションブランドとの相乗効果を狙えるコスメ。ここには15のブランドが所属し、1800年代創業の老舗もあれば、去年できた新興もあって、安定とポテンシャルを感じるセクターですね。
  • ウォッチ&ジュエリー・・・2021年のティファニーの買収劇も記憶に新しい、このセクターには8ブランドが属しています。魅力的で有名な時計およびジュエリーのブランドばかりで目が奪われます。
  • セレクティブ・リテーリング・・・特別なショッピング体験の提供をコンセプトにするセクターには、6ブランドあります。免税店で馴染みのある「DFS」もLVMH傘下とは驚きです。筆者は以前の勤め先で、日本に進出したばかりの「SEPHORA」を視察に行った記憶があります。その後すぐに撤退の憂き目にあいましたが。。。
  • その他の活動・・・ライフスタイル、文化、芸術などの分野での10ブランドが属しているこのセクター。新聞社や高級ホテル、ヨット製造など旅行や出版に関わる事業です。「モノを売る」以外でも社会に貢献している事業を抱えているところが、他のグループとは異なる部分です。

それぞれの所属ブランドをみてみましょう。

ワイン&スピリッツ

LVMH公式サイトより抜粋
  • DOMAINE DES LAMBRAYS(ドメーヌ・デ・ランブレイ):創業1365年
  • CHÂTEAU D’YQUEM(シャトー・ディケム):創業1593年
  • DOM PÉRIGNON(ドン・ペリニヨン):創業1668年
  • RUINART(ルイナール):創業1729年
  • MOËT & CHANDON(モエ・エ・シャンドン):創業1743年
  • HENNESSY(ヘネシー):創業1765年
  • VEUVE CLICQUOT(ヴーヴ・クリコ):創業1772年
  • CHÂTEAU GALOUPET(シャトー・ガルぺ):創業1792年
  • ARDBEG(アードベッグ):創業1815年
  • CHÂTEAU CHEVAL BLANC(シャトー・シュヴァル・ブラン):創業1832年
  • KRUG(クリュッグ):創業1843年
  • GLENMORANGIE(グレンモーレンジィ):創業1843年
  • MERCIER(メルシエ):創業1858年
  • CHANDON(シャンドン):創業1959年
  • JOSEPH PHELPS(ジョセフ・フェルプス):創業1973年
  • NEWTON VINEYARD(ニュートン・ヴィンヤード):創業1977年
  • CLOUDY BAY(クラウディー・ベイ)・創業1985年
  • COLGIN CELLARS(コルギン・セラーズ):創業1992年
  • BELVEDERE(ベルヴェデール):創業1993年
  • TERRAZAS DE LOS ANDES(テラザス・デ・ロス・アンデス):創業1996年
  • BODEGA NUMANTHIA(ボデガ・ヌマンシア)」:創業1998年
  • CHEVAL DES ANDES(シュヴァル デ アンデス):創業1999年
  • WOODINVILLE(ウッディンビル):創業2010年
  • AO YUN(アオ・ユン):創業2013年
  • VOLCAN DE MI TIERRA(ボルカン デ ミ ティエラ):創業2017年
  • EMINENTE(エミネンテ):創業2020年

ファッション&レザーグッズ

LVMH公式サイトより抜粋
  • LOEWE(ロエベ):創業1846年
  • MOYNAT(モワナ):創業1849年
  • LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン):創業1854年
  • BERLUTI(ベルルッティ):創業1895年
  • RIMOWA(リモワ):創業1898年
  • PATOU(パトゥ):創業1914年
  • LORO PIANA(ロロ・ピアーナ):創業1924年
  • FENDI(フェンディ):創業1925年
  • CELINE(セリーヌ):創業1945年
  • EMILIO PUCCI(エミリオ・プッチ):創業1947年
  • CHRISTIAN DIOR(クリスチャン・ディオール):創業1947年
  • GIVENCHY(ジバンシィ):創業1952年
  • KENZO(ケンゾー):創業1970年
  • MARC JACOBS(マーク・ジェイコブス):創業1984年

パフューム&コスメティクス

LVMH公式サイトより抜粋
  • OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー):1803年
  • GUERLAIN(ゲラン):創業1828年
  • ACQUA DI PARMA(アクア・ディ・パルマ):創業1916年
  • PARFUMS CHRISTIAN DIOR(パルファン・クリスチャン・ディオール):創業1947年
  • GIVENCHY PARFUMS(パルファム ジバンシイ):創業1957年
  • LOEWE PERFUMES(ロエベ・パルファム):創業1972年
  • BENEFIT COSMETICS(ベネフィット・コスメティクス):創業1976年
  • MAKE UP FOR EVER(メイクアップフォーエバー):創業1984年
  • KENZO PARFUMS(ケンゾー・パルファム):創業1988年
  • FRESH(フレッシュ):創業1991年
  • KVD BEAUTY(KVDビューティ):創業2008年
  • MAISON FRANCIS KURKDJIAN(メゾン フランシス クルジャン):創業2009年
  • CHA LING(チャリン):創業2016年
  • FENTY BEAUTY BY RIHANNA(フェンティ・ビューティ・バイ・リアーナ):創業2017年
  • STELLA BY STELLA MCCARTNEY(ステラ・バイ・ステラ・マッカートニー)創業2022年

ウォッチ&ジュエリー

LVMH公式サイトより抜粋
  • CHAUMET(ショーメ):創業1780年
  • TIFFANY & CO.(ティファニー):創業1837年
  • TAG HEUER(タグ・ホイヤー):創業1860年
  • ZENITH(ゼニス):創業1865年
  • BULGARI(ブルガリ):創業1884年
  • FRED(フレッド):創業1936年
  • REPOSSI(レポシ):創業1957年
  • HUBLOT(ウブロ):創業1980年

セレクティブ・リテーリング

LVMH公式サイトより抜粋
  • LE BON MARCHÉ RIVE GAUCHE(ル・ボン・マルシェ・リブ・ゴーシュ):創業1852年
  • LA GRANDE EPICERIE DE PARIS(ラ・グランド・エピスリー・ディ・パリ):創業1923年
  • STARBOARD CRUISE SERVICES(スターボード クルーズ サービス):創業1958年
  • DFS(ディー・エフ・エス):創業1960年
  • SEPHORA(セフォラ):創業1969年
  • 24S:創業2015年

その他の活動

LVMH公式サイトより抜粋
  • COVA(コヴァ):創業1817年(菓子屋)
  • ROYAL VAN LENT(ロイヤル・ヴァン・レント):創業1849年(高級ヨット製造)
  • JARDIN D’ACCLIMATATION(ジャルダン・ダクリマタシオン):創業1860年(アミューズメント・レジャーパーク)
  • LES ECHOS(レゼコー):創業1908年(経済メディア)
  • LE PARISIEN(ル・パリジャン):創業1944年(ニュースメディア)
  • CONNAISSANCE DES ARTS(コネサンス・デ・ザール):創業1952年(芸術雑誌)
  • INVESTIR(アンヴェスティール):創業1974年(金融雑誌)
  • BELMOND(ベルモンド):創業1976年(高級ホテル)
  • RADIO CLASSIQUE(ラジオ・クラシック):創業1983年(ラジオコンテンツ)
  • CHEVAL BLANC(シュヴァル・ブラン):創業2006年(高級ホテル)

LVMHグループへの転職方法

LVMHグループへの関心が一層高まったところで、どのようにすればこのLVMH傘下のブランドに転職できるのでしょうか。筆者はラグジュアリーブランドの現役販売員ゆえ、販売スタッフに限りアドバイスはできますが、その他の職種、本社スタッフの転職方法などは別サイトのそれにお任せします。

LVMHグループの各ブランド販売員への転職方法は、結論「転職エージェントを活用する」です!もちろん公式サイトに求人情報が掲載されているブランドもあります。例えばルイ・ヴィトンだと、公式ホームページの一番下に「企業/採用情報」のリンクがありますのでそちらから確認できます。

しかし、一般的にはラグジュアリーブランドの求人は非公開が多く、一般的なルートでは求人すら探せないこともあります。そこで活用したいのが、「ラグジュアリーブランドの転職に強いエージェント」。多くのラグジュアリーブランドの求人を保有し、人事担当者とのパイプも持っていて、面接の日程や対策、年収交渉もしてくれます。何とも心強いですね。そんなエージェントに登録するのって難しいのでは??と思っているあなた。答えは簡単です!しかも無料!詳しくはこちらの記事をご参照ください。

まとめ

以上のように、「LVMH」は業界では最大級のブランドグループです。誰もが知っているような老舗のブランドも数多く所有しています。就職先としてもとても魅力的な企業が多いです。販売員としては、キャリアアップに最適なブランドが多いです。グループの概要を知り、ご自身の転職活動にお役立てください。最後までお読みいただきありがとうございました。